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下剤の種類

大腸内視鏡検査前の下剤の選択

大腸内視鏡検査を安全かつ正確に行うためには、「腸内をしっかりと洗浄すること」が必要不可欠です。腸内に便が残っていると病変を見逃すリスクが高まり、検査の精度が著しく低下してしまいます。そのため、検査前日に使用する下剤(腸管洗浄剤)の選択は、検査の成功を大きく左右する非常に重要なプロセスです。本ページでは、医師の視点から4種類の下剤を紹介するとともに、その違いや特徴を徹底的に比較します。なかでも当院が最も推奨している「マグコロールP」については、特に詳しく解説します。検査を受ける方の不安を和らげ、少しでも最適な選択ができるお手伝いができればと思います。

そもそも「腸管洗浄剤」とは?

腸管洗浄剤とは、大腸内視鏡検査を行う前に腸の中をきれいにするために飲む薬剤です。これらは便を排出し、腸内を視認可能な状態にすることを目的としており、正確な診断やポリープ切除の安全性を確保するうえで欠かせないものです。下剤というと「つらい」「苦い」「大量に飲まないといけない」といったネガティブなイメージを持つ方も多いかもしれませんが、近年では改良された製剤が多数登場しており、味や飲みやすさ、安全性の面でも大きく進化しています。ただし、それぞれにメリット・デメリットがあるため、患者さん一人ひとりの体質や状況に応じた選択が必要です。

マグコロールPとは?最もバランスの取れた下剤

マグコロールPは、近年使用頻度が高まりつつある腸管洗浄剤で、成分はクエン酸マグネシウムを主体とした電解質溶液です。従来の下剤と比較して、飲みやすさ、安全性、服用方法の簡便さにおいて非常に優れており、当院ではもっとも多く処方している薬剤です。最大の特徴は、追加の水を飲む必要がないという点にあります。他の下剤では、薬剤を飲んだあとにさらに大量の水を摂取しなければならない場合が多いのですが、マグコロールPはそれ自体で必要な水分量と電解質バランスが整っているため、薬剤だけで完結する設計となっています。これにより、特に水分摂取が苦手な方や、高齢者にとって大きな負担軽減となります。また、風味も工夫されており、苦味や塩味が目立たない爽やかな味付けがなされているため、服用の際の不快感が少なく、多くの患者様が「意外と飲めた」「飲みやすかった」と評価いただいています。

マグコロールPが高齢者に推奨される理由

高齢者にとって、腸管洗浄は思った以上に体力を消耗する作業です。大量の水分を摂取しすぎると、心臓や腎臓への負担が増し、逆に少なすぎても脱水症状を引き起こすリスクがあります。その点、マグコロールPは電解質のバランスが良く、体に負担をかけにくい設計がなされていることが特徴です。さらに、服用方法も複雑ではなく、説明書通りに行えば自宅でも十分に自己管理が可能です。味やにおいに敏感な方にとっても受け入れやすく、嚥下能力の低下した方にも比較的飲みやすいとされています。

各種下剤の違いについて

違い 味・においの感じやすさ 総服用量 洗浄力  高齢者適応 服用の手軽さ 特徴
マグコロールP ◎さっぱりして飲みやすい 味が良く、水不要。体にやさしい。 味が良く、水不要。体にやさしい。
サルプレップ △酸味が強い 少量で済むが水が必須。 少量で済むが水が必須。
モビプレップ 〇少し濃い味 非常に高 強力な洗浄力だが負担が大きい。

強力な洗浄力だが負担が大きい。

ビジクリア ◎錠剤タイプ 味が気になる人には最適。 味が気になる人には最適。

他の下剤について補足説明

①サルプレップ:少量・高濃度タイプの新鋭

サルプレップは、近年登場した新しいタイプの腸管洗浄剤で、総服用量が少ない点が最大の特長です。従来の2リットル前後の下剤と比べて、わずか960mL(480mL×2回)の服用で済むため、水分摂取が苦手な方に好まれる傾向があります。しかし、その代わりとして、薬剤を飲んだあとに大量の水を追加で摂取する必要があるため、飲み忘れや脱水のリスクには注意が必要です。また、酸味が強めで味に好みが分かれる場合もあるため、事前に相談したうえで選択することが望まれます。

②モビプレップ:洗浄力に優れている

モビプレップは長年ヨーロッパを中心に使われてきた信頼性の高い下剤で、日本でも広く普及しています。洗浄力が非常に強く、大腸の奥まで確実に洗浄できるため、再検査率を下げる効果が期待できます。ただし、高浸透圧であるため、脱水や電解質異常を引き起こすリスクがあり、特に心臓・腎臓疾患を持つ患者様に使用する際には医師の厳重な管理のもとで行う必要があります。飲みやすさの点では工夫されているものの、濃い風味に抵抗を感じる方も少なくありません。

③ビジクリア:味が苦手な方向けの錠剤タイプ

ビジクリアは、液体ではなく錠剤として服用するタイプの下剤です。味覚やにおいに対する感受性が高い方、液体を飲み込むことに抵抗のある方にとっては大きな選択肢となります。ただし、服用する錠剤の数が40〜50錠と多く、飲み込む動作が負担になるケースもあるため、嚥下機能に問題がある方には適していません。服用時間が長くかかる点も考慮が必要です。

どの下剤を選べばいい?

下剤選びは単に「飲みやすさ」だけでなく、年齢、持病、体力、味覚の敏感さ、スケジュールの都合など、複数の要素を考慮して行うべきです。たとえば、高齢の方や心疾患をお持ちの方には、体への負担が少ないマグコロールPが適している一方、時間が限られている方には少量のサルプレップが好まれることもあります。私たちは、これらの個々の条件をもとに、患者様としっかり相談しながら最適な下剤を一緒に選んでいます。クリニックによっては、下剤は指定されるケースもあるため、選択できないこともありますので、事前に確認しましょう。

マグコロールPの服用方法

1溶かす

マグコロールPのパックに水を加え、全体の量を1,800mLにします。

2服用(飲む)

作成した1,800mLの溶液を、約1時間30分から2時間かけて服用します。目安として、コップ1杯(約200mL)を10〜15分かけてゆっくり飲みます。

3排便の確認

服用開始から30分から1時間後に最初の排便があり、その後数回の排便を経て、便が薄い黄色の水様便(尿の色程度)になれば腸内が清浄化された状態と判断されます。

注意点

  • 服用中や服用後に腹痛、吐き気、嘔吐、めまいなどの症状が現れた場合は、直ちに当院に連絡してください。
  • 高齢者の方や胃を切除された方は、特に時間をかけてゆっくり服用することが推奨されています。
  • 服用前日や服用前に排便がない場合は、医師または薬剤師に相談してください。

下剤についてのよくある質問

下剤を飲んでもなかなか便が出てきません。どうすればよいですか?

下剤を飲み始めてから排便が始まるまでには、通常30分から1時間程度かかりますが、個人差があります。特に便秘傾向の方や、直前の食事が少なかった方では2時間以上かかることもあります。それでも全く反応がない場合は、動いたり腹部を軽くマッサージすることで腸の動きを促せる場合があります。ただし、3時間以上経過しても全く便意がない場合や、腹痛・吐き気が強い場合は、当院に連絡してください。

下剤の服用中に気分が悪くなったら中断してもいいですか?

軽い吐き気や腹部膨満感は一時的に見られることがありますが、強い吐き気、嘔吐、めまい、冷や汗などがある場合は服用を中断してください。水分を摂りながら少し休むことで改善することもありますが、症状が続く場合は必ず医師に連絡してください。無理に飲み続けることは、かえって体調を悪化させることがあります。

下剤を飲んでいる途中で眠くなってしまった場合はどうしたらいいですか?

下剤を飲んでいる間は、腸の動きを維持し排泄を促すためにも、できるだけ座った姿勢で過ごし、意識を保つことが望ましいです。ただし、眠気が強い場合は無理をせず、タイマーをかけて短時間の仮眠をとるなどの工夫をしてください。途中で眠ってしまい、予定より服用が遅れた場合は、検査スケジュールに影響する可能性があるため、早めに医療機関へ相談してください。

生理中でも下剤を飲んで大腸内視鏡検査を受けても大丈夫ですか?

生理中でも検査や下剤の服用自体に医学的な問題はありません。ただし、ナプキンの着用による不快感や、出血との区別が難しいことがあるため、検査スタッフに生理中である旨を事前に伝えておくと安心です。また、服薬中の痛み止め(鎮痛薬)や鉄剤などがある場合には、医師に確認が必要です。

下剤を服用した日は車の運転をしても大丈夫ですか?

下剤によっては脱水や電解質バランスの変化により、めまいやふらつきが生じることがあります。そのため、当日は車やバイク、自転車の運転は避けることが原則です。また、鎮静剤を使用する検査の場合は、前日から運転禁止が求められる場合もあります。公共交通機関や付き添いの方の同行をおすすめします。

大腸カメラ検査を検討されている方は当院へ

受付大腸カメラを受ける場合、下剤の服用は必須となりますが、当院では初めての方でも安心して受けていただけるようサポート体制を充実させておりますのでまずはご相談ください。また当院では、院内での下剤服用の体制もございます。ご自宅でおひとりで服用されるのが怖い、来院途中に便意を催さないか心配という方はぜひ院内で服用ください。大腸の病気は、早期発見、早期治療が非常に重要です。定期的な健康診断を受けていない方はもちろんのこと、受けている方でも便潜血検査だけでお済ませの方は、大腸カメラ検査を受けていただくことをおすすめしております。当院では24時間WEB予約にて診察のご予約を承っておりますので、まずはこちらからご予約ください。

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